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研究者・生産者のコラム

2016/01/20

多量培地栽培から極少量培地栽培へ 静岡大学農学部 教授 糠谷 明

静岡大学では、1985年からロックウール耕によるメロンやキュウリの栽培試験に取り組み始めた。その際、タイマーによる制御盤とハンディポンプ、点滴ノズルを組み合わせた小規模用の給液装置を開発した。静岡大学でロックウールの試験を始めた1985年ころには10cm角(1、000ml)というブロックもあり、そのまま定植せずにメロンの育苗を続けると、結構まともな株に生育することを経験した。当時培地容積は、株当たり数リットルないと正常な生育はしないと思い込んでいたので、まさかDトレイ栽培のような250mlという極少量培地量でトマト、メロンが栽培できるとは考えもしなかった。静岡大学でロックウールを導入した1985年に、日射比例給液装置が実用化され、少量多頻度給液が確立されていれば、この10㎝角ブロックを用いた極少量培地栽培が早期に実用化したものと後に気がついた。

日本にロックウール耕が導入された1980年代はオランダでロックウール栽培が急速に普及した時代であったが、これは産官学が一体となって温室、栽培システムの開発をしていたためで、オランダを施設園芸先進国として発展させている所以である。ただ、ヨーロッパでも日本でも、養液栽培の発展期の研究に従事した人々は、土耕を経験した人が多かったためか、培地量を少なくするという発想には至らなかったと思われる。

培地量が多いことにより培地が肥料成分や水を余分に持ちすぎた場合、制御が厄介である。培地が含んだ水を減らすには、蒸散による減少を待たざるを得ない。また一度培地に与えた肥料成分は植物が吸収するまでなくならず、特に過剰の窒素は植物体を栄養成長過多に導く。培地への水や肥料成分は、足し算はできても引き算はできない。このような観点からも少量多頻度給液の考え方は、理に適っている。

Dトレイ栽培は、まさしく前述の条件を満たした栽培方法である。発端は、三倉直己氏がDトレイをイチゴの育苗用にオランダから導入したことから始まるが、Dトレイ育苗イチゴを定植せずに放っておいてもシーズン中すくすく生育したことから、定植不要のDトレイイチゴ栽培が実用化した。その後、トマトでも可能ではないかということで2005年の現地試験(磐田市)や静大農学部で栽培試験に続き、静大農学部付属農場(藤枝フィールド)では2006~2007年に小規模温室(125㎡)での栽培試験、2008年度からの5a温室2棟での実証栽培を経て、2009年度には本格的普及にむけて栽培経営実証と栽培技術指導を行う㈱静岡アグリビジネス研究所が設立された。その後、2010年に㈱大仙は、農水省植物工場実証・展示・研修事業に参画し、千葉大学拠点(柏市)にてトマトのDトレイ栽培実証展示を開始した。現在Dトレイ栽培の設置面積はおおよそ4haに達し、またメロン栽培も袋井の生産法人に導入され、今後の普及が期待されているところである。

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中島農園でのDトレイ栽培試験(2005年)

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3段摘心栽培のDトレイトマト

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